性行為によって何を得たいのか
やっすいマッサージ屋さんにいったら、担当の人が、まだ始めたてすぐですという感じの、わたしと同い年かちょっと上くらいのイケメンお兄さんだった。
施術はまあ下手くそ(緊張が伝わってくる、ちゃんとツボに入ってないときある)だったけど、精一杯な姿が可愛いし、別の意味で心が満たされまくったのでオールオッケーです。
あれはね、ほとんどセックスだわ、※ふつうのマッサージだよ)、自分がセックスに対して求めていたものを彼はくれた。
セックスに何を求めてるか、なんて今の今まで自分でも分かっていなかったのだけど、今日はっきりとわかった。
簡単に言ってしまえば「尽くされること」、どうすれば気持ちがいいのか、考えながら奉仕してくれること、力加減を変えてみたり質問したりして、こちらの様子を伺ってくれる。丁寧に丁寧に扱ってくれる。
そうか、わたしはすっごく大切に、扱われたかったんだ。ほんとは、それをしてくれるならセックスじゃなくても、良かった。ってことに今さら21年目に気がついたよ。
以前ある人に言われた「なんできみはセックスするの?」にという質問に、うまく答えられなくて、当時は好奇心?と答えたけれど、それだけじゃない気がしていた。性欲を満たすため?寂しさを埋めたい?誰かに必要とされたい?なんだかどれもピンとこなかった。やっとその答えがわかってスッキリした。
そうやって考えてみると、そんなセックスをしたことなんて、ほとんどない、ということに気づいてしまった。
だからいつも終わったあと、空っぽな気持ちになってたんだね。セックス好きなの?とかエロいねって言われるたび、心の中がモヤモヤして、でもそれがなんなのか分からなくて見ないようにしてた、んだけど、なんでモヤモヤしてたのか、今ならわかる。相手が喜ぶと思ったからそうしていたのであって、わたしは、自分がしてもらいたいことをただ相手にしていただけなのだ。こう振舞ったら喜ぶかな、こうしてほしいのかな〜っていう、思いやり。したいからやってるわけではない、いや、もちろんしたいからしてるんだけどね。
同じように、わたしだけをじっと見て、わたしの気持ちだけを考えてもらいたかったのです。そうやって、身体じゃなくて、身体の快感じゃなくて、心を愛撫してもらいたかったのだ。
男の人がわたしの中で単調なピストンを長いあいだ繰り返しているとき、どうしようもない虚しさに襲われることがよくある。なにしてるだろうってなんでわたしはこんなに悲しくなるんだろう?わからない、わからないけど、この人はやくイっちゃわないかな、なんて、そんなことを考える。どんどん気持ち良さも薄れていって、乾いていく愛液が、涙に変わっていってしまいそうな、そんな感覚。そういうときっていうのは、たいがい、相手はわたしを見ていない。目を瞑って、自分の中に入ってしまって、わたしはひとりここに取り残されてしまう。
それは、相手がわたしのことを本当に愛していないからなのかもしれない。本当にわたしのことを愛してくれる人とセックスをしたのなんて、もうずっと前だ。もしすごく愛されていたとしたら違ったのか?ふと、そんなことを思ってみたけど、きっと違うと思い直した。これはたぶん価値観の違い。
わたしはふつうの人より、繋がりを求めているのだと思う。セックスはエネルギーの交換だなんていったりするけど、その瞬間だけでいいから、心と心を合わせて、束の間でもいいからひとつになりたい。
他の人たちがどんな気持ちでなにを求めてセックスをしているのか知らないけど。
自分がほんとうに求めていることが分かってよかった。これからは、その旨を行為の前に相手に伝えてみることにする。
わたしが欲しいものはこれです。あなたが欲しいものはなんですか?